医師転職の失敗事例⑤【転科したけど適性がなかった】

転科による転職失敗事例。適性が重要。

医師が自分の専門科目を変える事を転科と言います。あるアンケートによると、転科を考えたことがある医師は全体の3割未満で、そのうち実際に転科した医師は1割を少し切る人数となっていました。残りの2割程度の医師は転科を考えたことはあるが実際には転科はしなかったということです。7割以上の医師は転科を考えたこともないという結果でした。

また、転科をした年次を見ると、4割ちょっとが5年目未満、2割ちょっとが6年目から10年目未満で、実際に転科をした医師の6割以上が医師になって10年目までという若い時期に転科をしているようです。まだやり直しがきく時期という判断なのでしょう。
それ以降になると転科を考えても実際には行動には移す医師はだんだん少なくなってくるようです。これまでやってきた専門科目の勉強や経験を投げ打って、全く違う専門科目をまた最初からやり直すということに躊躇するという医師の心理は理解できます。
年次が20年を超えてきての転科で多いのは外科医がメスを置くケースなどです。

私が担当した医師ではありませんが、転科に失敗したという話を聞いたことがあります。
その医師は呼吸器内科医でしたが7年目の時に精神科へ転科したそうです。精神保健指定医を取ってゆくゆくは開業を目指したいと意気込んでいたそうですが、この医師自身がメンタル面の不調を抱えていたため環境を変えたいというのが元々転科のきっかけだったようです。精神科の病院で毎日過ごしていることでメンタルの不調が更に悪化し、2年足らずで自分には精神科医として診療していく適性が無かったと言って、また内科医として別の病院に転職したという事です。

転科にはこれまでの経験や知識を捨てて、全く違う診療分野を一から身に付けていく大変な努力や苦労が伴うことを覚悟する必要があると思います。年収ダウンも数年は我慢する必要があるかもしれません。
まだ医師になって数年の若い時期であれば、覚悟を決めて一からやり直す体力や集中力があるかもしれませんが、何度も転科をすることは現実的ではありませんので、転科をする場合は、その専門科目への適性が自分にあるのか、そして、ずっとその専門科目で医師として診療していくという覚悟を持つことも重要だと思います。

放射線科への転科についての適性は?

専門分化が進んでいる最近の医師は年齢によっては転科するのは難しいというのが一般的だと思います。
放射線科も細かく専門分化が進んでいる専門科目のひとつですが、他科から放射線科への転科は可能なのでしょうか?また放射線科への転科についての適性はどうなのでしょうか?
放射線科には他の診療科との関連がある領域が多いと言われています。他の診療科で経験を積んだ医師は、放射線科に転科しても、これまでの知識や経験をいかせる場合があり、これまでの専門領域に限ってみると、放射線科でずっとやってきた医師よりも局所の診断や治療において秀でることもあるということです。特に若い年齢での転科であれば腫瘍内科医が画像診断医になったり、IVRを専門にしたり、放射線治療医になることも十分に可能でしょう。

精神科への転科についての適性は?

精神科への転科についてはどうでしょうか?精神科への転科にはどのような適性が求められるのでしょうか?
精神科医は求人が増えている専門科目のひとつです。社会的ニーズが増えていることから精神保健指定医を目指す医師が増えています。精神科への転科を考える医師は内科系の医師が多いように思います。高齢化により精神疾患と内科疾患を併発している患者さんが増えていることから、もっと精神科を基礎から学びたいと考える内科医が増えているのでしょう。高齢化により認知症なども増えていることから精神科には基礎医学から心療内科や神経内科、老年内科などのほか、消化器内科や循環器内科など様々な医師が転科しているようです。

皮膚科への転科についての適性は?

女性医師の増加に比例するように皮膚科を志望する医師が増えています。しかし、皮膚科の医師を募集する求人はあまり多くはありません。そして皮膚科は小切開手術や皮膚科特有の知識など、転科をするにはこれまでの経験と照らし合わせて適性があるのかどうかよく考えないと失敗します。美容に関心が高い皮膚科医が美容皮膚へ転職するケースは多く、美容未経験でも皮膚科専門医であれば採用するという美容皮膚科クリニックはあります。
しかし、未経験者歓迎といった指導体制が整っている施設からの皮膚科医師求人はそんなに多くありません。

リハビリへの転科についての適性は?

リハビリへの転科についての適性はどうでしょうか?
リハビリは高齢化に伴い医師求人が増えている専門科目のひとつです。そして比較的転科を歓迎する医療機関が多い専門科目でもあります。適性としては脳神経外科医や整形外科医からは比較的転科がしやすいと言えるでしょう。リハビリ科への転科はあまり若い時期に限定されないという面があるのもリハビリ科の特徴と言えます。
内科や外科、回復期病棟専従医としてリハビリに関わっている医師が本格的にリハビリに携わりたいということでの転科も多いです。

その他の診療科目への転科をお考えの方へ

その他の診療科目への転科をお考えの医師の方は、年齢やこれまでの経験、知識、専門医資格、今後のことなどをよく考えて、転科を検討している診療科目のこともよく調べて、その診療科の医師に転科した医師が身近にいるか、転科してやっていけるのかなどを聞いてみるといいでしょう。
転科したいとか今の仕事を辞めたいと思うきっかけは色々あると思いますが、勢いだけで転科へと動いてしまって後悔しないようにしてほしいと思います。
また、医師転職エージェントに転科したいと考えている専門科目の求人状況なども聞いてみて転科をするかどうかの判断材料にするのもいいと思います。転科には覚悟と相当の努力が求められますので転科したいという気持ちが本物かどうか、しっかりとした将来展望と計画が大切です。

あなたの転科の適性はいかがでしたでしょうか?

転科したいとお考えの医師の方は、その専門科目へのあなたの適性について考えてみてください。転科への適性はいかがでしたでしょうか?
転科したいと考えたことがある医師は結構いらっしゃるようですが、実際に転科したことのある医師はあまり多くはありません。ある診療科目で専門医を取るくらいの年数を過ごしてしまうと、それを捨てて転科へと方向転換し、また違う診療科目を最初からやり直して専門医を取り、何年かの遅れを取り戻すことは結構大変なことだと考える医師が多いということでしょう。転科したいという思いより今の専門科目で頑張るという選択をする医師が現実には多いということだと思います。

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