医師転職の失敗事例⑪【非常勤への転職・掛け持ち】

一言で医師といっても様々な働き方があります。具体的には出産・育児中の医師が非常勤として、月に数回程度働いたり、非常勤やスポット勤務をしてフリーの医師として働いたり、常勤と非常勤を掛け持ちして働くなどがあります。非常勤医師としてのみ働く場合、年金や保険のことについて考えなければなりませんし、確定申告をわすれてはいけません。ここではそういった非常勤医師が把握しておかなければならない保険や税金の問題、非常勤として働く医師が住宅ローン審査についてなど事例を踏まえながら解説していきます。

 

常勤と非常勤の掛け持ちは体力的にきつい?

週4日以上(1週間に32時間以上)勤務している常勤先の規定で兼業が許可されていれば、常勤と非常勤の掛け持ちをすることで大幅な収入アップが見込めます。金銭面だけではなく、いつもと違う環境と従業員、患者の中で新鮮な気持ちで仕事することができます。さらに、症例数の増加や周辺知識習得などのスキルアップが見込めます。

一方、常勤と非常勤の掛け持ちは常勤先の休日に、非常勤として別の病院に勤務するので、体を休める時間が減ってしまいます。当直の非常勤の業務をこなした後に常勤先で勤務となれば、体力的負担がかなり大きくなり、常勤先の業務に支障が出てくるのでバランスをうまくとる配慮も必要になります。

 

患者から信用してもらえない場合がある?

患者は医師の多くが非常勤と常勤の掛け持ちをしているという事実を知らない人が多いです。患者は診察後にインターネットで病院について検索し、医師の紹介ページに「非常勤」と書いてあるのを見つけたり、大学病院の担当医師表に「非常勤講師」と表記されているのを見て不安を感じる人も少なくないようです。中には非常勤というだけでその医師が信用できず、診察を常勤の医師に変えてほしいと依頼する人もいます。

子育てと両立するために非常勤として週に1回だけ勤務している医師や、非常勤の掛け持ちをしている医師もいます。しかし、多くは常勤と非常勤の掛け持ちをしているケースだと思います。患者はその病院での非常勤医師が、体他の病院で常勤医として勤務しているという事を知らない人が多いのです。

 

保険や納税の管理が大変

納税

非常勤医師として勤務を始めると確定申告を自分で行う必要があります。確定申告後に相当額の納税の義務があるので、予め一定の金額を準備しておく必要があります。しっかり申告することで還付金を受けられる可能性があります。しかし、怠った場合は延滞税が発生したり、罪に問われることもあります。最近はインターネットから簡単に申告できたり、自動で会計してくれるソフトも充実しているので早めに準備しておくとよいでしょう。

保険、福利厚生

非常勤医師は福利厚生の適応外になる事が多いです。非常勤のみで働く場合は、健康保険や厚生年金などは自分で払わなければいけません。この場合の自分で加入する保険は、地方自治体は取り扱っている国人健康保険や、医師会や業界団体が扱う医師国民健康保険などがあります。病院によって福利厚生や保険の待遇は異なるので事前にしっかり把握しておく必要があります。

 

バイト医師は住宅ローンが組みづらい?

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ローンを組む時は非常勤のみで常勤の医師と比べると、どうしても社会的信用が得られにくくなり不利になってしまいます。給料は非常勤を掛け持ちしている医師の方が高くなることもありますが、常勤ではないので、「来年も同じ収入が得られる保証がない」と銀行に判断されるとローンを組ませてもらえない恐れがあるのです。実際に、常勤と非常勤を掛け持ちしている医師が、住宅ローンを組む際「非常勤(アルバイト)としての収入は安定した収入として認められない」と銀行からの融資可能な金額が予想の半分程度だったという事例もあるようです。

しかし、非常勤のみでの勤務でも全くどのこ金融機関でも組めない訳ではないようです。住宅のローンは、毎月の返済に充分な収入が見込まれ、継続して返済出来ると判断されれば組むことができるようになっています。その返済能力の有無を判断される基準は、返済負担率の限度を超えてないかどうか、継続して返済していけるかどうかにあります。この返済負担率とは一般的に、1年間の住宅ローン返済額を年収で割った値のことを言います。この値が最大35〜40%以内であれば住宅ローンの審査には通るだろうと言われています。ただし、この返済負担率の計算方法は金融機関が独自に設定しているので、各金融機関によって異なります。

また、住宅ローンの返済能力を判断される基準は、組織内の転勤であっても病院ごとの勤務年数を見ているところもあります。医療機関を転勤して1年経過をしていない時期では収入面で条件を満たしていても勤務年数が基準を満たさず金融機関によっては審査に落ちてしまうことがあります。今後住宅ローンを組むことを視野に入れている医師は、審査の基準まで考えて転職の時期や転職先を計画的に決めていかなければなりません。